朝起きたときに首が痛い、振り向きにくい、首を後ろに反らしづらい――。
このような、いわゆる「寝違え」のような首の痛みで来院される方は少なくありません。
寝違えのような症状は、睡眠中に長時間同じ姿勢が続くことや、首・肩まわりの筋肉に負担がかかることなど、さまざまな要因が関係して起こると考えられています。
今回は、起床時から首の痛みが現れ、特に左を向く動作や、首を後ろに反らす動作が行いにくくなった方の施術経過をご紹介します。
※本記事は個人が特定されないよう一部の情報を調整した症例紹介です。施術による変化や経過には個人差があります。
来院時の症状
来院時には、主に次のような症状がみられました。
- 朝起きたときから首が痛い
- 左を向くと痛みが強くなる
- 首を後ろに反らしにくい
- 肩甲骨の内側から上方にかけて押したときの痛みがある
日頃から長時間のデスクワークが続いており、首や肩に負担がかかりやすい生活環境でした。
また、気候や気圧の変化によって身体の不調を感じることがあるとのお話もありました。
首だけでなく胸椎や肩甲骨の動きも確認
身体の状態を確認すると、首そのものの動きだけでなく、背中の回旋、特に胸椎まわりの動きにも制限がみられました。
胸椎とは、首と腰の間に位置する背骨の部分です。
振り向く、上を見る、身体をひねるといった動作では、首だけが単独で動いているわけではありません。胸椎や胸郭、肩甲骨も連動して動いています。
そのため、胸椎や肩甲帯の動きが小さくなると、首がその動きを補おうとして、頸部への負担が大きくなることがあります。
当院では、首の痛みがある場合でも痛みのある場所だけに注目せず、姿勢や胸椎、肩甲骨、上半身全体の動きを確認しています。
今回行った施術
今回の状態に対しては、首や肩まわりの反応を確認しながら、次のような施術を行いました。
首・肩まわりへの徒手施術
頸部や肩まわりの筋緊張に対して、強い刺激を加えすぎないよう注意しながら、穏やかな手技を行いました。
痛みが強い時期に無理に首を動かしたり、強く筋肉を伸ばしたりすると、かえって症状が強くなることがあります。
そのため、その日の痛みや身体の反応に合わせて、施術の強さや動かす範囲を調整しました。
後頭部周辺への鍼施術
徒手施術に加えて、後頭部のつけ根に位置する後頭下筋群などに鍼施術を行いました。
後頭下筋群は、頭を支えたり、首の細かな動きを調整したりする筋肉です。長時間のデスクワークや同じ姿勢が続くことで、負担がかかりやすい部分でもあります。
鍼施術では、強い刺激で無理に変化を出すのではなく、痛みを誘発しない範囲で刺激量を調整しました。
胸椎・胸郭の運動
首の動きを補助することを目的として、胸椎や胸郭を動かす運動も行いました。
胸椎や胸郭の動きが改善することで、振り向く動作や首を後ろに反らす動作における、頸部への負担を軽減できる可能性があります。
ご自宅でも無理なく継続できるよう、痛みの出ない範囲で行える運動をお伝えしました。
施術後の変化
施術後は、首を後ろに反らす動作の可動範囲が、来院時よりも広がりました。
左を向いたときの痛みは、その場ですべて消失したわけではありませんでしたが、回旋動作に伴う負担は軽くなり、改善傾向がみられました。
今回は、首だけでなく胸椎や胸郭の動きにも介入したことが、動作の変化につながった可能性があります。
ただし、寝違えのような首の痛みは、1回の施術ですべてが解決するとは限りません。施術直後の変化だけで判断せず、その後の生活や仕事の中で症状がどのように変化するかを確認することも重要です。
寝違えたときに無理なストレッチは必要?
首が痛いときに、何とか動かそうとして強くストレッチをしたくなる方もいらっしゃいます。
しかし、痛みを我慢して無理に首を伸ばしたり、勢いをつけて動かしたりすると、症状が強くなる場合があります。
痛みが強い時期は、次の点を意識しましょう。
- 痛みを我慢して首を動かさない
- 勢いをつけてストレッチをしない
- 長時間同じ姿勢を続けない
- 痛みの出ない範囲で日常動作を行う
- 首や肩を冷やしすぎない
一方で、怖さから首をまったく動かさず、必要以上に安静にしすぎることもおすすめできません。
症状を確認しながら、痛みの出ない範囲で少しずつ普段の動作を続けていくことが大切です。
今後確認していくポイント
次回来院時には、主に次の点を改めて確認します。
- 左を向いたときの痛み
- 首を後ろに反らす動作
- 首の可動範囲
- 肩甲骨周辺の圧痛
- 胸椎や胸郭の動き
- デスクワーク中や起床時の症状
経過を確認しながら、必要に応じて首・肩まわりへの施術と、胸椎・胸郭の運動を段階的に進めていきます。
首の痛みで医療機関への相談が必要な場合
寝違えのように感じる首の痛みでも、別の病気やけがが隠れている可能性があります。
次のような症状を伴う場合は、早めに医療機関へ相談してください。
- 腕や手のしびれが強い
- 手や腕に力が入りにくい
- 歩きにくさやふらつきがある
- 強い頭痛や吐き気を伴う
- 発熱や強い倦怠感がある
- 転倒や交通事故の後から痛みが続いている
- 安静にしていても強い痛みが続く
- 時間の経過とともに症状が悪化している
当院においても、状態によっては施術を行わず、医療機関での検査や診察をご案内することがあります。
寝違えのような首の痛みでお困りの方へ
起床時に起こる首の痛みは、首だけの問題とは限りません。
長時間のデスクワークや姿勢、胸椎・胸郭の動き、肩甲骨周辺の緊張など、複数の要因が重なっていることがあります。
宇都宮の千鍼灸整骨院では、痛みのある部分だけでなく、姿勢や身体全体の動きを確認しながら、鍼灸、徒手施術、運動を組み合わせた対応を行っています。
「朝起きたら首が動かない」
「振り向くと首が痛い」
「寝違えのような症状がなかなか良くならない」
このような首の痛みや動かしづらさでお困りの際は、無理に動かしたり強くストレッチをしたりせず、お早めにご相談ください。
